Space & Art / 空間とアート
VOLUME 01 / PART IV / CHAPTER 44

なぜ室内装飾家はクラブの部屋ごとに異なる表情をつくったか

初代Colony Clubの現建物と、Elsie de Wolfeが1913年に出版した食堂・寝室・Trellis Roomを見比べる。現在の階段ホールと当時の室内を同時点の復元とせず、用途別の内装とその出版のされ方を読む。

米国・ニューヨーク、Colony Club 1900年代/1913年刊行の室内写真実物・記録を見比べる出典 6 件
1913年に公表されたColony Club食堂
Elsie de Wolfe, The House in Good Taste (1913) · Colony Club室内1913年刊行/写真: 撮影年未確認 · Public domain (1913 publication; US) 図版情報
Elsie de Wolfe, The House in Good Taste (1913) · 元資料
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クラブの部屋に誰が入ったか

de Wolfeが手がけたColony Clubは、当時の上層女性の社交のための私的施設だった。Cooper Hewittは彼女がクラブの室内を担い、別の芸術家Robert Winthrop Chanlerの壁画と協働した経緯を記す。『The House in Good Taste』の当時の写真にある食堂や寝室は、家具、壁面、布、明るさを一室の経験として設計したことを示す。しかし会員のための空間であることは、女性一般が自由に使えた公共施設だという意味ではない。歴史写真は設計者が選んだ見せ方も含む。現在の建物外観を部屋の使用風景と混同せず、写真の時代を分ける。[1][4]

同一対象旧クラブ建物・現在の階段ホール初代建物1904–08年/写真: 2016年7月12日初代Colony Clubの旧建物に残る階段ホールを2016年に撮影した内部実景。1913年の食堂・寝室・Trellis Roomの原配置を示さない。Elisa.rolle · CC BY-SA 4.0 · 元資料[5]
同一対象初代Colony Clubの旧建物・現外観初代建物1904–08年/写真: 2012年8月14日120 Madison Avenueの初代クラブ建物。現在はAmerican Academy of Dramatic Artsが使用。de Wolfeの1913年室内写真と時点を混ぜない。Beyond My Ken · CC BY-SA 4.0 · 元資料[6]

1913年刊のde Wolfeの著書にはColony Clubの食堂、寝室、Trellis Roomの実際の室内写真が載る。現在のクラブ外観とこれらを並べれば、外からは見えない壁紙、家具、格子、照明の選択が現れる。同一施設の室を別角度で見比べると「女性のクラブ」という社会制度が、食事、宿泊、談話の複数の行為に分けて空間化されたことが分かる。ただし本は本人による編集・宣伝でもあり、全会員や従業員の経験を代表しない。どの部屋が誰に開かれ、誰が掃除したかは別の記録が要る。[1][4]

Colony Clubは会員のための場所で、写真に写る静かな部屋だけでは利用の規則を示せない。誰が会員として食堂に入れ、誰が給仕や清掃に従事したかを同じ「女性の空間」という語へ潰さない。de Wolfeの仕事は室内の選択を伴うが、建物の全構造を一人で設計したと書かない。外観写真は都市との接点、三室の写真は内部の用途を示し、それぞれ異なる問いを支える。[1][4]

掲載した階段ホールは2016年の現況であり、de Wolfeの1913年刊行写真と同時の状態を示さない。外観は現在の旧建物を示し、当時の室内の配置は原著三図に限って読む。[1][4]

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三室で違う活動を特定する

食堂には複数人の席と配膳が要り、寝室には休息と身支度が要る。Trellis Roomでは格子状の面が背景を作り、利用者を囲む。de Wolfeの本に載った写真を、単に装飾柄の違いとして見ず、家具が動く余地、座った時に見える壁、入口から最初に見える面を各室で指す。モノクロ写真で色の比較をせず、素材と光沢の印象も印刷技術の影響を考える。室内写真三枚は同じ施設の違う用途という、比較の条件が揃った組である。[1][2][4]

de Wolfeの本は、彼女がColony Clubの格子の室を計画した際、細い緑の木片を交差させる作業の重要性を理解する職人を探すのに苦労したと語る。格子面は単に印刷された模様ではなく、木片を施工して壁の装飾にした仕事である。写真で反復する縦横を指した後、その均一さを誰の手が作ったかを本文へ戻す。職人の固有名は原著に見当たらないため、勝手に補わない。[1][2][4]

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装飾家の仕事は一人の手ではない

de Wolfeの名で語られる室内には、建築家、壁画家、家具・布の製作者、施工者、依頼主の選好がある。Cooper Hewittが紹介する第二のColony ClubではChanlerの鳥や花の壁画が部屋を形づくった。de Wolfeの著書に載る写真は自身の考えの一次資料である一方、掲載されない部屋や使用上の不満を教えない。室内全体を決める権限の広さと、制作を分担する多数の手を同時に読む。別の自宅や別荘の写真をColony Clubの部屋として流用せず、作品の場所をキャプションで正確に示す。[2][4]

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女性のクラブという依頼の制度

Colony Clubが女性の社交のために設けられたことは、室の数と利用の仕方に関わる。誰が会員となれ、誰がその場で働いたかを区別しなければ、女性のための公共的空間という一つの語で階級と雇用の差を消す。de Wolfeの仕事を説明する時も、依頼者、建築家、家具製作者、室内装飾家の役割を分ける。2012年の外観は都市に面した入口の現存位置を示すが、入会の規則は示さない。写真の人物不在を、利用者や労働者がいなかった証拠にしない。[1][2][4]

原著の目次を見ると、壁、色、扉と窓、人工照明、階段、食堂、寝室、格子などの章が分かれる。室内装飾を最後の飾り付けだけに限定していないことが著書の構成からわかる。同時に原著は「女性が家をつくる」という当時の階級的・性別役割の前提で語り、働く人々の声を十分に残していない。図版と文を合わせて読み、記録したい人と記録されなかった人の差を教材の問いにする。[1][2][4]

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私的食堂、寝室、格子の室を比べる

de Wolfeの1913年の著書に載る三室は、同じColony Clubでありながら用途が違う。食堂では卓と椅子の配置が会話と給仕の距離を決め、寝室では就寝と身支度の道具、格子の室では壁面全体の構成が前面に出る。三枚を「女性的な趣味」といった一語で括らず、誰がそこで何をするか、どの面を背景にし、どの家具が動くかを一枚ごとに記述する。外観写真は施設の入口と都市との接点を示すが、室内の装飾を証明しない。照明や色はモノクロ印刷で失われるため、著書の語りをそのまま実景の完全な再現にしない。[4][1]

同一対象Colony Club寝室Colony Club室内1913年刊行/写真: 撮影年未確認同じクラブの別室。食堂とは用途が異なる。Elsie de Wolfe, The House in Good Taste (1913) · Public domain (1913 publication; US) · 元資料[4]
同一対象Colony Club格子の室Colony Club室内1913年刊行/写真: 撮影年未確認同じクラブのTrellis Room。装飾を室の用途と結びつけて読む。Elsie de Wolfe, The House in Good Taste (1913) · Public domain (1913 publication; US) · 元資料[4]
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原著の写真は自己表現でもある

1913年の『The House in Good Taste』は、de Wolfeがどの室を自作として見せたいか選んだ出版物である。写真は有力な一次史料だが、すべての室、使い古した状態、維持の手間を網羅しない。原著中の説明と撮影された位置を対応させれば、装飾を「一人の趣味」から、依頼・撮影・出版を通した専門職の提示へ広げられる。Knoll Planning Unitは別の時代の職能を考える参照先として残すが、本章の図版にない事例を見たことにしない。[1][2]

食堂の写真で卓のまわりの席を読み、寝室ではベッドと歩ける余地、格子の室では壁と天井を覆う部材の連続を読む。これは同じクラブ内でも、活動に応じて視線の中心が変わることを示す。三室を撮った日や、同じ会員がどれほど使ったかは明らかでない。写真の美しさを「利用の成功」と呼ばず、配置の判断までに止める。[1][2]

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依頼と写真の選択を読む

Colony Clubは女性のための社会的施設であり、その室内を誰が使い、誰が撮影を許したかという制度も画面の成立条件である。de Wolfeの著書は設計者自身が自作を提示する媒体で、労働に関わった職人や給仕の視点を等しく写す資料ではない。同時代の室内を比較するときは、依頼者、装飾家、建設・製作に携わった人、利用者を分ける。後のKnoll Planning Unitは企業オフィスを計画した別の制度であり、公式記録に完成室内と平面図がある。Colony Clubの三室とは時代も依頼も違うため、同じ部屋の前後像として扱わない。近代化を「装飾から合理化への単純な勝利」と描くのでなく、異なる依頼の記録をそれぞれ読む。[3][1]

Knollの公式記録では、Florence Knollが1946年にPlanning Unitを始め、企業のオフィスを家具一脚ではなく室全体で計画した。Connecticut General本社では建築家SOMと協働し、家具・材料・照明などを原寸模型で試した。Cowles Publicationsのオフィスには施工や設備に加え、床材、ブラインド、植物、絵画まで別の図面・仕様が用意された。de Wolfeの三室と照合するなら、両者に共通する「用途に応じた一室の構成」と、会員クラブ対企業執務室という依頼の違いを分けて書く。Knollの完成室内と平面図は公式記録を開いて確かめ、de Wolfeの三室と用途・時点・表現媒体を分けて読む。[3][1]

三室とも1913年の著書で公表されたが撮影日までは確定していない。刊行年を撮影年に書き換えず、出版物に選ばれた室であることを図版の来歴として記す。[3][1]

READING PRACTICE

一枚に戻って考える

Colony Clubの食堂・寝室・格子の室を並べ、固定した壁面、移動できる家具、人の活動の位置を三欄で記し、モノクロ写真から言えない色と使用感を挙げよ。

照合の手がかり

三室は同じ施設の異なる用途。壁・家具の配置は見えるが、色票、利用者の評価、給仕の動きは原著と追加記録なしには断定できない。

言える範囲

1913年の出版物に選ばれたColony Club三室と、旧初代建物の2012年外観・2016年階段ホールを示す。現在の階段ホールをde Wolfe時代の内装としない。Knoll Planning Unitは公式記録の写真と本文を参照して職能史の対照を読めるが、掲載図にはその完成室内がない。

SOURCE REGISTER

出典・図版

  1. [1] Cooper Hewitt, Elsie de Wolfe and Colony Club
    https://www.cooperhewitt.org/2015/11/02/meet-the-hewitts-part-fifteen/
  2. [2] Cooper Hewitt, Chanler and Colony Club
    https://www.cooperhewitt.org/2017/04/03/cooper-hewitt-short-stories-the-fantastic-beasts-of-robert-winthrop-chanler/
  3. [3] Knoll, The Planning Unit
    https://www.knoll.com/story/shop/the-planning-unit
  4. [4] Elsie de Wolfe, The House in Good Taste, 1913
    https://www.gutenberg.org/files/14715/14715-h/14715-h.htm
  5. [5] Elisa.rolle
    https://commons.wikimedia.org/wiki/File:First_Colony_Club_House,_New_York_City,_NY.jpg
  6. [6] Beyond My Ken
    https://commons.wikimedia.org/wiki/File:AADA_Colony_Club.jpg