なぜ室内装飾家はクラブの部屋ごとに異なる表情をつくったか
初代Colony Clubの現建物と、Elsie de Wolfeが1913年に出版した食堂・寝室・Trellis Roomを見比べる。現在の階段ホールと当時の室内を同時点の復元とせず、用途別の内装とその出版のされ方を読む。

Elsie de Wolfe, The House in Good Taste (1913) · Colony Club室内1913年刊行/写真: 撮影年未確認 · Public domain (1913 publication; US) 図版情報
クラブの部屋に誰が入ったか
de Wolfeが手がけたColony Clubは、当時の上層女性の社交のための私的施設だった。Cooper Hewittは彼女がクラブの室内を担い、別の芸術家Robert Winthrop Chanlerの壁画と協働した経緯を記す。『The House in Good Taste』の当時の写真にある食堂や寝室は、家具、壁面、布、明るさを一室の経験として設計したことを示す。しかし会員のための空間であることは、女性一般が自由に使えた公共施設だという意味ではない。歴史写真は設計者が選んだ見せ方も含む。現在の建物外観を部屋の使用風景と混同せず、写真の時代を分ける。[1][4]
1913年刊のde Wolfeの著書にはColony Clubの食堂、寝室、Trellis Roomの実際の室内写真が載る。現在のクラブ外観とこれらを並べれば、外からは見えない壁紙、家具、格子、照明の選択が現れる。同一施設の室を別角度で見比べると「女性のクラブ」という社会制度が、食事、宿泊、談話の複数の行為に分けて空間化されたことが分かる。ただし本は本人による編集・宣伝でもあり、全会員や従業員の経験を代表しない。どの部屋が誰に開かれ、誰が掃除したかは別の記録が要る。[1][4]
Colony Clubは会員のための場所で、写真に写る静かな部屋だけでは利用の規則を示せない。誰が会員として食堂に入れ、誰が給仕や清掃に従事したかを同じ「女性の空間」という語へ潰さない。de Wolfeの仕事は室内の選択を伴うが、建物の全構造を一人で設計したと書かない。外観写真は都市との接点、三室の写真は内部の用途を示し、それぞれ異なる問いを支える。[1][4]
掲載した階段ホールは2016年の現況であり、de Wolfeの1913年刊行写真と同時の状態を示さない。外観は現在の旧建物を示し、当時の室内の配置は原著三図に限って読む。[1][4]
三室で違う活動を特定する
装飾家の仕事は一人の手ではない
女性のクラブという依頼の制度
私的食堂、寝室、格子の室を比べる
de Wolfeの1913年の著書に載る三室は、同じColony Clubでありながら用途が違う。食堂では卓と椅子の配置が会話と給仕の距離を決め、寝室では就寝と身支度の道具、格子の室では壁面全体の構成が前面に出る。三枚を「女性的な趣味」といった一語で括らず、誰がそこで何をするか、どの面を背景にし、どの家具が動くかを一枚ごとに記述する。外観写真は施設の入口と都市との接点を示すが、室内の装飾を証明しない。照明や色はモノクロ印刷で失われるため、著書の語りをそのまま実景の完全な再現にしない。[4][1]
原著の写真は自己表現でもある
依頼と写真の選択を読む
Colony Clubは女性のための社会的施設であり、その室内を誰が使い、誰が撮影を許したかという制度も画面の成立条件である。de Wolfeの著書は設計者自身が自作を提示する媒体で、労働に関わった職人や給仕の視点を等しく写す資料ではない。同時代の室内を比較するときは、依頼者、装飾家、建設・製作に携わった人、利用者を分ける。後のKnoll Planning Unitは企業オフィスを計画した別の制度であり、公式記録に完成室内と平面図がある。Colony Clubの三室とは時代も依頼も違うため、同じ部屋の前後像として扱わない。近代化を「装飾から合理化への単純な勝利」と描くのでなく、異なる依頼の記録をそれぞれ読む。[3][1]
Knollの公式記録では、Florence Knollが1946年にPlanning Unitを始め、企業のオフィスを家具一脚ではなく室全体で計画した。Connecticut General本社では建築家SOMと協働し、家具・材料・照明などを原寸模型で試した。Cowles Publicationsのオフィスには施工や設備に加え、床材、ブラインド、植物、絵画まで別の図面・仕様が用意された。de Wolfeの三室と照合するなら、両者に共通する「用途に応じた一室の構成」と、会員クラブ対企業執務室という依頼の違いを分けて書く。Knollの完成室内と平面図は公式記録を開いて確かめ、de Wolfeの三室と用途・時点・表現媒体を分けて読む。[3][1]
三室とも1913年の著書で公表されたが撮影日までは確定していない。刊行年を撮影年に書き換えず、出版物に選ばれた室であることを図版の来歴として記す。[3][1]
一枚に戻って考える
Colony Clubの食堂・寝室・格子の室を並べ、固定した壁面、移動できる家具、人の活動の位置を三欄で記し、モノクロ写真から言えない色と使用感を挙げよ。
照合の手がかり
三室は同じ施設の異なる用途。壁・家具の配置は見えるが、色票、利用者の評価、給仕の動きは原著と追加記録なしには断定できない。
考える手がかり:三室は同じ施設の異なる用途。壁・家具の配置は見えるが、色票、利用者の評価、給仕の動きは原著と追加記録なしには断定できない。
1913年の出版物に選ばれたColony Club三室と、旧初代建物の2012年外観・2016年階段ホールを示す。現在の階段ホールをde Wolfe時代の内装としない。Knoll Planning Unitは公式記録の写真と本文を参照して職能史の対照を読めるが、掲載図にはその完成室内がない。
出典・図版
- [1] Cooper Hewitt, Elsie de Wolfe and Colony Club
https://www.cooperhewitt.org/2015/11/02/meet-the-hewitts-part-fifteen/ - [2] Cooper Hewitt, Chanler and Colony Club
https://www.cooperhewitt.org/2017/04/03/cooper-hewitt-short-stories-the-fantastic-beasts-of-robert-winthrop-chanler/ - [3] Knoll, The Planning Unit
https://www.knoll.com/story/shop/the-planning-unit - [4] Elsie de Wolfe, The House in Good Taste, 1913
https://www.gutenberg.org/files/14715/14715-h/14715-h.htm - [5] Elisa.rolle
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:First_Colony_Club_House,_New_York_City,_NY.jpg - [6] Beyond My Ken
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:AADA_Colony_Club.jpg