Space & Art / 空間とアート
VOLUME 01 / PART IV / CHAPTER 43

なぜ戦後の住宅は、規格部材を場所に合わせて組み替えたか

イームズ邸を一枚のファサード写真で「工業化された住宅」と呼ばない。既製の部材を使いながら敷地と生活に応じて計画を変えた履歴を読む。

米国・ロサンゼルス、1945年原案/1949年竣工実物・記録を見比べる出典 8 件
イームズ・ハウス外観
Gunnar Klack · 住宅1949年竣工/写真: 2014年 · CC BY-SA 4.0 図版情報
Gunnar Klack · 元資料
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外観の格子は何を示すか

Case Study House #8の外壁には鋼の格子と異なる色・透明度のパネルが見える。現在の外観写真からは、既製材を使って開口と壁を組み立てたこと、住宅と仕事場が並ぶことを観察できる。室内写真は展示された生活用品や造り付けと可動家具の関係を示すが、1949年の入居直後そのままとは限らない。イームズ財団は現在の保存と見学も担うため、写真は生活記録であると同時に保存・展示の記録である。まず三枚を同じ敷地の違う面として地図上に置き、色面だけをモンドリアンの絵画に似せて語る近道を避ける。[1]

外観を正面から見ると、パネルの色と金属の規則的なグリッドが際立つ。内部からは同じ枠が樹木と生活用品を区切る窓になる。Eames Foundationは、設計の変更時に既に調達していた鋼材を使い、敷地の斜面と草地を守る位置へ建物を置いたと記す。写真が示す軽やかな立面は、建築材料の供給遅延と現場の地形を選び直した結果でもある。最初のBridge House構想と竣工建物の図版を並べれば、単なる形の修正でなく敷地との関係の変更が分かる。[1]

現在の写真に家の格子が反復して見えても、1945年原案で想定した鋼材がそのまま同じ場所に使われた証拠ではない。形の共通性は完成案の観察、調達と設計変更はEames Officeの記録、生活用品の配置は保存された室内の別の時間層として三列にする。これによって「工業部品を使った住宅」が直ちに量産住宅の実績を意味しないと確認できる。[1]

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格子の反復を敷地の中で見る

外観を複数の角度から追うと、細い鋼材の格子に異なる色・透過性のパネルがはまり、同時に家が斜面とユーカリの列に沿って置かれていることがわかる。格子は規格化された部材を使う意図を示すが、周囲の樹木まで規格化したわけではない。外観の隣に室内を置き、窓の外の緑と内部の生活用品を対応させる。家全体をどこへでも運べるキットと呼ばず、この敷地で何を残したかを確かめる。[1][2]

同一対象イームズ・ハウス別外観住宅1949年竣工/写真: 2014年同じ家の別角度。外壁のグリッドと周囲の樹木を比べる。Gunnar Klack · CC BY-SA 4.0 · 元資料[6]
同一対象イームズ・ハウスの別外観住宅1949年竣工/写真: 2012年現存するCase Study House No.8を別の位置から撮影。反復する枠と斜面・樹木の関係を見る。1945年原案図ではない。Kyle · CC BY 2.0 · 元資料[7]
同一対象樹木の間から見た住宅・仕事場住宅1949年完成/写真: 2014年5月12日上方から見た2014年の現況。樹冠が建物の一部を隠し、原案の平面や全敷地を示さない。edward stojakovic · CC BY 2.0 · 元資料[8]

上方からの第五図は建物の輪郭より樹木の密度を強く示す。見えない床面を図面で補う際は、1945年原案と1949年完成案を分ける。[1][2]

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1945年の原案と1949年の変更

イームズ財団によれば、1945年にCharles EamesとEero Saarinenが「Bridge House」を設計し、工業製品のカタログから部材を発注した。戦争後の資材不足で鋼材到着が遅れる間に、CharlesとRay Eamesは草地を残す構成へ考え直した。同じ部材を使い、一部の鋼材を追加して二層の住宅と別棟スタジオへ組み替えた。つまり「規格」は形を機械的に決める制約だけではなく、場所へ調整する余地も持った。原案と完成形の図は同財団に掲載されるが、ここに再掲するなら個別の画像使用条件を確認する。現況写真だけを見て設計変更を読み取ったとは書かない。[1]

工業化をめざす試作住宅という語は、規格材を使うことと、多くの人が同じ家を得られることの間に距離があると教える。Eames Houseを住宅供給政策の達成例と呼ばない。広い普及を語る時は建材の価格、敷地、施工の仕組みを確認する。[1]

1945年の橋状の原案と1949年の完成案は、Eames Officeの歴史叙述で比較する。ここに掲載した現在写真は完成した住宅だけであり、原案を写していない。原案との差を写真内の「見えない形」として色分けせず、文書で確認した設計変更として年表に置く。[1]

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1945案と完成案は別の媒体で確認する

Eames Officeの歴史記録は、1945年のBridge House案が敷地を橋のようにまたぐ案で、戦後の鋼材供給の遅れの間に計画が組み替えられたことを説明する。1949年の完成家の写真は、その後の結果だけを見せる。二案を比較するには原案図をリンク先で読み、掲載図版には「原案」と誤ラベルを付けない。変更の理由を美意識の変化だけに帰さず、調達、敷地の使い方、RayとCharlesの協働を分けて記録する。[1][2]

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住宅の実験は量産の達成ではない

Arts & Architecture誌のCase Study House計画は、戦後の生活に応じる住宅を材料・技術から考える実験だった。#8は実際にCharlesとRayの住居兼仕事場となったが、個別の敷地、二人の仕事、収集品で育った一軒である。イームズ・オフィス自身も、この住宅は量産住宅にはならず、一点ものにとどまったと記す。部品化への志向、現地での施工、住み方の可変性を、それぞれ別の達成として評価する。次章のKnoll Planning Unitの企業オフィスは「変えられる職場」という関連する問いを持つが、発注者、収益構造、勤務者の数が異なるため一つの空間類型としてまとめない。[1][2][3]

住居とスタジオが並ぶ構成は、暮らしと制作を分けながら行き来させる。室内に並ぶ集めた物、民芸、試作、家具を全部「イームズのデザイン」と呼ばず、誰が作り、どこから来たかを確かめる。今日の保存写真は住まいとして使った長い時間を伝えるが、1949年の完成時を一瞬で復元しない。ケース・スタディ・ハウスの大量生産の理念も、この住宅そのものが量産されたという意味ではない。一回限りの実作と、広く応用できる構法の提案を分ける。[1][2][3]

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住宅内の物は規格化の反対側の証拠

室内には家具や収集物があり、住宅が単なる工業部材の見本ではなく、長く住みながら物を選び直す場所だったことを示す。ただし今日の保存された室内は、1949年の入居当日の配置ではない。製造業と住宅をつなぐ試みが、実際に低価格住宅を大量供給した成功例だと写真から断定しない。展示や保存に残った唯一の家と、雑誌で提案された戦後住宅の社会的目標は分けて扱う。[1][2]

同一対象イームズ・ハウス室内住宅1949年竣工/写真: 2014年同じ家の生活用品と窓を見る。1949年竣工時の室内記録ではない。edward stojakovic · CC BY 2.0 · 元資料[5]
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誰が使い、誰が設計したか

Case Study Houseの紹介ではCharlesとRayの共同の生活・制作に焦点が当たる。一方、初期案にEero Saarinenが関わった事実を落とすと、完成形までの判断過程が消える。室内の物も全てが二人の設計品ではなく、収集・贈与・移動の履歴を持つ。写真の格子に家具の形を無理に従属させず、工業部材の反復の中に異種の物が入る緊張を見る。生活空間の写真から他の戦後家庭の標準像を導くことはできない。建物を使う人の固有性と、反復可能な部材を同じフレームに収めたところに、この住宅の学習価値がある。[1]

住宅は展示されると、よく整えられた室内の一瞬に見える。Eames Houseでは、CharlesとRayが長く暮らし、物を集め、制作を続けた時間を写真から消さない。Eames Foundationの歴史説明には、設計が一度で決まらず、鋼材の調達と敷地の再考によって変わった経緯がある。最初の案と竣工後を図面で比較すれば、規格材の使い方と建物の地面への置き方を別々に説明できる。内部写真にある品を生活の痕跡として読む際も、来歴が不明な工芸品を家の設計者の作品にしない。モジュール化は物を無個性にするというより、生活の変化を受け入れる骨組みを作る可能性を示した。ただし量産の実績は別の資料で確かめる。[1]

Eames Houseの保存写真で室内の物を数える時、収集物がいつ置かれたかは個別に確かめる。生活の時間はパネルの規格と違い、同じ位置に留まらないからだ。Case Study Houseの建築年1949年と写真の撮影年を並べ、窓の外の樹木や内部の品が後に変化した可能性を残す。[1]

READING PRACTICE

一枚に戻って考える

完成したEames Houseの外・内実景で反復する部材とこの敷地固有の条件を分け、1945年原案との差はEames Officeの文書からのみ二点補え。

照合の手がかり

写真は完成住宅の格子、パネル、周辺樹木を示す。1945年原案の形、鋼材の調達遅延、1949年の設計変更はEames Officeの文書に依拠する。

言える範囲

掲載図は1949年完成のEames Houseの現況を示す。1945年のBridge House原案の形や、その案からの具体的な変更は、これらの現況写真では比較できない。

SOURCE REGISTER

出典・図版

  1. [1] Eames Foundation, Case Study House #8
    https://eamesfoundation.org/work/case-study-house-8/
  2. [2] Eames Office, The Modular House
    https://www.eamesoffice.com/modular-house/
  3. [3] www.knoll.com
    https://www.knoll.com/story/shop/the-planning-unit
  4. [4] Gunnar Klack
    https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Eames-House-Case-Study-House-No-8-Pacific-Palisades-California-04-2014b.jpg
  5. [5] edward stojakovic
    https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Eames_House_Interior.jpg
  6. [6] Gunnar Klack
    https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Eames-House-Case-Study-House-No-8-Pacific-Palisades-California-04-2014d.jpg
  7. [7] Kyle
    https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Case_Study_House_8_(Eames_House)_(49841751998).jpg
  8. [8] edward stojakovic
    https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Eames_House_from_above_(14205168324).jpg